書面添付制度で税務調査リスクを下げる相続税申告|対応税理士の選び方と費用差の理由

相続税は、税目のなかでも税務調査が入りやすいことで知られます。
そのリスクを下げる有効な方法が「書面添付制度」で、書面添付が調査リスクを下げます。
書面添付制度は、税理士が申告書の作成過程を記した「添付書面」を申告書に付ける制度です。
ただし、すべての税理士が対応しているわけではありません。
対応している税理士に依頼すると安心ですが、そのぶん費用は少し上がる傾向があります。
なぜ費用が変わるのか、その理由まで知っておくと、依頼先を納得して選べます。
本記事では、書面添付制度の仕組み、税務調査リスクが下がる理由、対応税理士の選び方と費用差の理由を、山梨県の渡辺税理士事務所がわかりやすく解説します。
📌 この記事のポイント
・書面添付制度は税理士が申告書の作成過程を記した「添付書面」を付ける制度
・相続税で活用すると税務調査のリスク低減が期待できる
・調査前の「意見聴取」で疑問が解消されれば実地調査が省略されることも
・すべての税理士が対応しているわけではない
・費用はやや上がるが、調査対応の負担や追徴リスクを考えると価値がある
書面添付制度とは何ですか?
書面添付制度とは、税理士法第33条の2に基づき、税理士が申告内容の正しさを説明する制度です。
申告書に、税理士がどのように資料を確認・検討して作成したかを記した「添付書面」を付けます。
税理士が作成する「添付書面」を申告書に付ける
添付書面には、税理士がどの資料をもとに、何をどう確認して申告書を作成したかを記載します。
いわば申告内容の「確認レポート」のようなもので、税務署に対して申告の正確さを示す役割を持ちます。
税理士だけが行える制度
書面添付は、税理士が申告書を作成した場合にのみ行える制度です。
記載内容に責任が伴うため、税理士は通常より入念に資料を精査します。
この精査そのものが、申告の質を高めることにつながります。
なぜ書面添付で税務調査リスクが下がるのですか?
これは、税理士法第35条において、書面添付がある申告については、税務署が実地調査に入る前に税理士へ意見聴取を行うと定められているためです。
実地調査の前に「意見聴取」という段階が入ることで、調査の進め方が変わります。
調査の前に税理士への「意見聴取」が行われる
書面添付された申告について税務署が疑問を持った場合、いきなり実地調査に入るのではなく、まず税理士に対して意見聴取(質問)が行われます。
ここで疑問が解消されれば、実地調査が省略されることもあります。
書面添付あり・なしの違い
| 項目 | 書面添付なし | 書面添付あり |
|---|---|---|
| 調査の入り方 | いきなり実地調査の通知が 来ることがある |
まず税理士への 「意見聴取」から始まる |
| 実地調査の省略 | 省略されにくい | 意見聴取で疑問が解消されれば 省略されることがある |
| 申告の信頼性 | 税務署が内容を 確認する必要が高い |
税理士が作成過程を説明しており 信頼性が高い |
意見聴取の段階での自主修正のメリット
意見聴取の通知は、法律上の「調査の通知」には該当しません。
そのため、実地調査の事前通知が行われる前にこの段階で自主的に修正申告をすれば、原則として過少申告加算税は課されません。
この点も、書面添付の実務的なメリットです。
書面添付はどんな相続で特に有効ですか?
書面添付は、税務署が疑問を持ちやすい相続で特に効果を発揮します。
財産が多い・土地が多い相続
財産が多く、評価が複雑な相続ほど、税務署がチェックしたい点も増えます。
山梨県は、甲府盆地周辺の宅地評価や、市街化調整区域内の農地・山林の評価など、地域特有の複雑な土地評価が論点になりやすく、書面添付で評価の根拠を示すことで、疑問を先回りして解消できます。
名義預金など判断が分かれる論点がある場合
名義預金や生前贈与など、判断が分かれやすい論点があるときは、税理士がどう考えて処理したかを書面で説明できると、調査に発展しにくくなります。
相続税は調査率が高いため効果的
相続税は、申告した相続人の約1割が実地調査の対象になるといわれ、税目のなかでも調査率が高い分野です。
だからこそ、書面添付による備えの効果が大きいといえます。
書面添付に対応している税理士の選び方は?
書面添付はすべての税理士が行っているわけではありません。
対応の有無と姿勢を確認しましょう。
書面添付の実施実績を確認する
「書面添付に対応していますか」「これまでの申告で書面添付を利用した実績はありますか」と尋ねましょう。
実績が豊富なほど、質の高い添付書面を作成できます。
相続の実績が豊富か
書面添付は相続の経験と表裏一体です。
年間の相続税申告件数が多く、相続を専門的に扱っている税理士ほど、書面添付にも対応している傾向があります。
原則としてすべての申告で書面添付をしているか
「原則すべての相続税申告で書面添付をしている」という事務所は、申告の質に自信がある証といえます。
ケースによって付けない場合は、その理由を確認しましょう。
書面添付は費用が上がる?費用差の理由は何ですか?
書面添付を付けると費用はやや上がりますが、費用差以上の安心が得られます。
まずは、なぜ費用が変わるのかを理解しておきましょう。
なぜ費用が上がるのか
書面添付には、税理士が資料を通常以上に精査し、確認内容を書面にまとめる追加の手間と責任が伴います。
この作業量の増加が、費用差の理由です。
費用差の目安
書面添付の費用は、数万円程度を加算する事務所もあれば、基本報酬に含めている事務所もあります。
金額だけでなく、どこまで対応してくれるかを含めて確認しましょう。
「費用差以上の価値」がある
税務調査が入れば、対応の手間や精神的な負担に加え、追徴税額・加算税のリスクも生じます。
書面添付でこれらのリスクを下げられるなら、費用差以上の価値があるといえます。
書面添付制度の注意点はありますか?
メリットの大きい制度ですが、いくつか理解しておきたい点があります。
虚偽の記載は税理士の責任になる
添付書面に虚偽の記載があれば、税理士が懲戒などの責任を問われます。
だからこそ税理士は入念に精査し、正確な申告につながるのです。
100%調査を防ぐものではない
書面添付は調査のリスクを下げる制度であって、調査を完全に防ぐものではありません。
意見聴取の結果しだいで実地調査に進むこともあります。
対応していない税理士もいる
前述のとおり、書面添付を行っていない税理士もいます。
調査リスクを重視するなら、対応している税理士を選ぶことが大切です。
書面添付による安心の相続税申告なら、山梨県全域対応の渡辺税理士事務所へ
財産評価から書面添付制度の活用まで、税務調査を見据えた相続税申告を税理士がサポートします。
調査リスクを抑えたい方は、初回のご相談でお気軽にご相談ください。
まとめ
書面添付制度は、税理士が申告書の作成過程を記した「添付書面」を付ける制度で、相続税の税務調査リスクを下げる効果が期待できます。
税理士法第35条に基づき、調査前の意見聴取で疑問が解消されれば実地調査が省略されることもあり、実地調査の事前通知前にこの段階で自主修正すれば、原則として過少申告加算税は課されません。
すべての税理士が対応しているわけではないため、対応税理士を選ぶことが安心の鍵になります。
費用差の理由も理解したうえで、納得して依頼しましょう。
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監修者
税理士・渡辺 松氏(渡辺税理士事務所)
税理士歴25年以上。山梨県の納税者を数多く支え、税務調査の豊富な経験を活かし、納付税額の軽減と今後の税務リスク対策まで親切丁寧にサポートします。