相続発生から1年間でやるべきこと|相続手続きの流れと期限を一覧で解説

大切なご家族を亡くされた直後は、深い悲しみの中で、葬儀の手配から役所への届出まで数多くの手続きに追われることになります。
「何から手をつければよいのか」「期限はいつまでなのか」と、不安に感じられる方も多いのではないでしょうか。
相続の手続きには、法律で期限が定められたものが少なくありません。
期限を過ぎると、加算税や過料といったペナルティ、あるいは相続放棄や特例を使う権利そのものを失うことにつながります。
特に「3か月(相続放棄)」「4か月(準確定申告)」「10か月(相続税の申告)」「3年(相続登記)」は、見落とすと不利益が大きい重要な節目です。
本記事では、相続発生から1年間にやるべきことを時系列で整理し、期限の一覧表とあわせて、山梨県の渡辺税理士事務所がわかりやすく解説します。
📌 この記事のポイント
・相続手続きには期限のあるものが多く、特に3か月・4か月・10か月が重要な節目
・相続放棄・限定承認は「相続の開始を知った時から3か月以内」
・準確定申告は4か月以内、相続税の申告・納付は10か月以内
・2024年4月から相続登記が義務化(取得を知った日から3年以内)
・期限を逃すと加算税・過料・特例の不適用といった不利益が生じる
相続発生から1年間の手続きには、どんな期限がありますか?
相続手続きの多くは、被相続人の死亡(または相続の開始を知ったこと)を起点に期限が決まります。
中でも「3か月=相続放棄」「4か月=準確定申告」「10か月=相続税の申告・納付」の3つは、過ぎると取り返しがつかない最重要の期限です。
まずは下表で全体像をつかみ、自分にどの手続きが必要かを確認することから始めましょう。
相続手続きの期限一覧
| 時期の目安 | 主な手続き | 期限 |
|---|---|---|
| 死亡後すぐ | 死亡届の提出・火葬許可申請 | 死亡を知った日から 7日以内 |
| 〜2週間 | 年金受給停止、世帯主変更届、健康保険・介護保険の資格喪失届 | 死亡後10〜14日以内 (手続きにより異なる) |
| 〜3か月 | 相続放棄・限定承認の申述 | 相続開始を知った日から 3か月以内 |
| 〜4か月 | 準確定申告(被相続人の所得税) | 相続開始を知った日の翌日から 4か月以内 |
| 〜10か月 | 遺産分割協議・相続税の申告と納付 | 相続開始を知った日の翌日から 10か月以内 |
| 〜1年 | 遺留分侵害額請求 | 相続開始と侵害を知った時から 1年以内 |
| 〜3年 | 相続登記(不動産の名義変更)の申請 | 取得を知った日から 3年以内 |
※期限の起算日は手続きにより異なります。
相続放棄・限定承認は「相続の開始があったことを知った時」から、準確定申告・相続税の申告は「相続の開始があったことを知った日の翌日」から起算します(いずれも法令上の正式な表現です)。
死亡直後〜2週間でやるべきことは何ですか?
この時期は、役所への届出と当面の生活に関わる手続きが中心です。
期限が短いものが多いため、葬儀と並行して進める必要があります。
死亡届の提出(7日以内)
死亡の事実を知った日から7日以内に、市区町村へ死亡届を提出します。
あわせて火葬(埋葬)許可申請を行います。
多くの場合、葬儀社が代行してくれますが、提出先や必要書類は確認しておきましょう。
年金・健康保険・世帯主変更などの届出(14日以内が目安)
年金の受給停止(厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内)、世帯主変更届(14日以内)、健康保険・介護保険の資格喪失届などを行います。
未支給年金や葬祭費・埋葬料など、申請すれば受け取れる給付もあるため、あわせて確認すると安心です。
預貯金口座の凍結と仮払い制度
金融機関が名義人の死亡を把握すると、その口座は原則として凍結され、遺産分割が決まるまで引き出せなくなります。
当面の生活費や葬儀費用に困らないよう、一定額まで単独で引き出せる「預貯金の仮払い制度」を利用できる場合があります。
相続放棄を検討するなら、なぜ3か月以内が重要なのですか?
被相続人に借金などの債務がある場合、相続放棄や限定承認を検討します。
これらは「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間)」に家庭裁判所へ申述しなければならず、この期間を過ぎると原則として単純承認(債務も含めてすべて相続)したものとみなされます。
相続放棄・限定承認の期限は「知った時から3か月」
プラスの財産より借金などのマイナスが多い場合は相続放棄を、財産と債務のどちらが多いか不明な場合は限定承認を検討します。
3か月では判断が難しいときは、期間内に家庭裁判所へ「熟慮期間の伸長」を申し立てる方法もあります。
遺言書の確認と相続人・財産の調査を急ぐ理由
3か月以内に承認・放棄を判断するには、その前提として遺言書の有無の確認、相続人の確定(戸籍謄本の収集)、そして財産・債務の調査を早めに進める必要があります。
自筆証書遺言は原則として家庭裁判所の検認が必要です(法務局の保管制度を利用した場合は検認不要)。
4か月以内の「準確定申告」とは何ですか?
準確定申告とは、被相続人がその年に得ていた所得について、相続人が代わりに行う所得税の確定申告です。
相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に、被相続人の住所地の税務署へ申告・納税します。
準確定申告が必要になる主なケース
被相続人に事業所得・不動産所得があった、給与・年金が一定額を超えていた、不動産や株式を売却して譲渡所得があった、といった場合に必要です。
逆に、医療費が多くかかっていた年などは、準確定申告によって所得税が還付されることもあります。
相続税の申告・納付(10か月以内)までに何を終える必要がありますか?
相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
相続手続きはこの10か月という締め切りから逆算して動くことが、特例の適用漏れや余計な税負担を防ぐ最大のポイントになります。
遺産分割協議と遺産分割協議書の作成
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産の分け方を話し合う遺産分割協議を行い、合意内容を「遺産分割協議書」にまとめます。
これは相続税の申告だけでなく、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しにも必要になる重要な書類です。
相続税の申告・納付(10か月以内)
遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、10か月以内に相続税を申告・納付します。
納税は原則として現金一括のため、納税資金の準備も並行して進める必要があります。
期限内に分割できないと特例が使えないことも
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、原則として申告期限までに遺産分割が終わっていることが適用の条件です。
間に合わない場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、後から特例を適用できる余地を残せます。
1年以降にも期限のある手続きはありますか?
1年以内・3年以内にも、見落とすと権利を失ったりペナルティを受けたりする手続きがあります。
遺留分侵害額請求は1年以内
遺言などによって、法律上保障された最低限の取り分(遺留分)を侵害された相続人は、侵害している人に対して金銭の支払いを請求できます。
この遺留分侵害額請求は、相続の開始と侵害を知った時から1年以内に行わないと時効により消滅します。
相続登記の義務化(2024年4月から・3年以内)
2024年4月1日から、不動産を相続した場合の相続登記(名義変更)が義務化されました。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しないと、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象となります。
注意したいのは、2024年3月以前に発生した過去の相続も義務化の対象になる点です。
この場合の申請期限は、施行日(2024年4月1日)から3年以内の2027年(令和9年)3月31日までとなり、すでに期限が迫っています。
長年そのままになっている未登記の不動産がある方は、早めの対応が必要です。
相続手続きは自分でできますか?専門家に相談すべきなのはどんな場合ですか?
財産が預貯金中心で相続人も少なくシンプルな場合は、ご自身で進めることも可能です。
一方で、相続税の申告が必要、不動産が複数ある、相続人の間で意見が分かれている、といった場合は、税理士・司法書士・弁護士など専門家の関与が安心につながります。
税理士への相談が向いているケース
相続税の申告が必要、土地の評価が難しい、特例の適用可否を判断したい、申告期限が迫っている、といった場合は早めの相談が有効です。
相続税は税目の中でも税務調査の対象になりやすいため、申告内容の正確さは特に重要です(詳しくは税務調査の確率は?10年以上来ない法人・個人の特徴と売上規模の目安 もご覧ください)。
早めの着手が手続き全体をスムーズにする
戸籍の収集や財産調査には想像以上に時間がかかります。
10か月という期限から逆算すると、実際に動ける期間は決して長くありません。
早い段階で専門家に相談することで、必要書類の準備や分割の進め方に見通しが立ち、手続き全体がスムーズになります。
相続手続き・相続税申告なら、山梨県全域で相続に強い税理士へ
期限の管理から遺産分割のサポート、準確定申告・相続税の申告書作成・提出まで、渡辺税理士事務所がワンストップで対応します。
まとめ
相続発生からの1年間は、死亡届(7日)・各種届出(14日)・相続放棄(3か月)・準確定申告(4か月)・相続税の申告納付(10か月)・遺留分侵害額請求(1年)と、期限のある手続きが次々と続きます。
さらに2024年4月からは相続登記も3年以内に義務化されました。
期限を逃すと加算税や過料、特例の不適用といった不利益につながります。
「10か月」を起点に早めにスケジュールを立て、必要に応じて相続に強い税理士へ相談することが、ご家族の負担と税負担の両方を抑える最善の備えになります。
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監修者
税理士・渡辺 松氏(渡辺税理士事務所)
税理士歴25年以上。山梨県の納税者を数多く支え、税務調査の豊富な経験を活かし、納付税額の軽減と今後の税務リスク対策まで親切丁寧にサポートします。